日本に住む私たちにとって、またカンボジア、タイに投資している日本人にとって、カンボジアとタイの国境紛争と聞いても、「それが日本に関係あるの?」「何が起きているのか、よく分からない」と感じる方が多いのではないでしょうか。
この記事では、そうした素朴な疑問に応える形で、この問題の背景や今後の行方を、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。ぜひご参考ください。
私はこの国境紛争を、単なる領土問題ではなく、タイ国内の政局不安や軍と政府の力関係のゆがみ、経済的な課題が複雑に絡み合って緊張を高めていると考えています。
以下では、その視点から整理した内容をわかりやすくご紹介します。
カンボジア―タイ国境紛争(2025年)
2025年5月28日、カンボジアとタイの国境地帯で発砲事件が発生し、両国は互いに国境を封鎖し、経済制裁を応酬し合う緊張状態に突入しています。
発砲事件後、直ぐにタイのパトンターン・シナワット首相、カンボジア上院議長フン・セン氏とも紛争地域における正常化に向けてを進めていたが、現在では緊張が高まっているのは何故か?
特にタイ側はインターネットや電力の遮断、さらには軍部から「戦闘準備完了」との発言が出るなど、外交・軍事・国内政治が絡み合った複合的な危機に発展しています。
この問題を理解するには、歴史的背景、政局不安、経済低迷の3点を押さえることが重要です。
1. 国境紛争の発端と経過
– 5月28日、プレアビヒア寺院近郊の国境で10分間の発砲戦が起き、カンボジア兵士1名が死亡。
– 両国は国境通行を遮断し、物資輸出入や人的往来に制限を加え始めました。
– カンボジアはタイ産果物の禁輸、メディア規制、タイ人の滞在制限を実施。
– 一方、タイはカンボジア向けインフラ遮断を示唆し、軍部が強硬な姿勢を表明。
2. カンボジアとタイの歴史的対立
– 両国の国境争いは、1962年のICJ(国際司法裁判所)によるプレアビヒア寺院のカンボジア領認定以降もくすぶり続けています。
– 2008年、同寺院が世界遺産に登録された際にも緊張が再燃し、軍事衝突が起きています。
– 国境線の曖昧さと、ナショナリズムを利用した政治的駆け引きが根底にあります。
3. タイの政局不安と統制力の脆弱性
今回の紛争では、タイ政府の統治能力の弱さが如実に浮かび上がっています。
– タイは歴史的にクーデターを繰り返してきた国で、1932年以降、25回以上の政変が発生。
– タイ第二軍管区司令官ブンシン・パドクラン中将が「戦闘準備完了」と発言。
– 一軍管区司令官が対外戦争の可能性を示唆する発言を行い、文民政府の統制力不足が露呈。
– さらに、カンボジア上院議長フン・セン氏とパエトンターン首相の秘密会談音声がSNSで流出。
– 音声内容を巡り、タイ国内で首相辞任要求運動が発生。外交問題が政変の引き金にされる。
– 現在のパエトンターン・シナワット政権は、連立崩壊の危機に直面しており、政権維持のために外交的強硬姿勢をとっている可能性があります。
これら一連の出来事は、タイ政権の脆弱性と軍と政府の力関係の歪みを強く印象づけるものです。
4. 経済状況と国民感情の冷静さ
タイの現状:
– 2025年初頭、中国人俳優の誘拐・監禁事件がタイ経由で発生し、国際的信用が低下。
– 3月、ミャンマーで発生した大地震の影響でタイ国内のビル倒壊、インフラにも損傷が発生。
– 観光客数は激減し、特に中国観光客は3割減、2025年第1四半期の経済成長率は1.8%にとどまる見込み。
– 国民の多くは戦争よりも「生活と経済の安定」を優先している。
カンボジアの意識:
– プレアビヒア寺院問題は国家主権の象徴でありながらも、トランプ政権で課された49%の高関税解除の方が国民生活に直結。
– 一般市民の間では、冷静な世論が大勢を占めています。
5. 世界情勢と「安価な戦争」の時代
– 同時期に、米軍がイランの核施設を空爆するなど、中東でも緊張が高まっています。
– ロシア・ウクライナ、イスラエル・イラン、台湾有事など世界各地で多発する危機。
– 特にドローンやAIによる無人兵器の普及により、人命喪失軽減、低コストで戦争が可能なため紛争が始まる現実が迫っています。
今後注視すべき点
外交交渉 ASEANや中国がどこまで仲介に成功するか
タイの政局 政権維持 or 崩壊、新たなクーデターの可能性
経済影響 貿易・観光・インフラが直面するリスク
国民の声 戦争よりも経済と生活再建を求める動き
まとめ
この国境問題は、単なる領土争いにとどまらず、タイ政局の不安定さ、軍と政府の緊張関係、経済低迷が複雑に絡み合った多層的な危機です。
経済制裁の応酬で関係が悪化しているカンボジアとタイですが、歴史と現実を正しく理解し、冷静な視点で情勢を見守ることが、今ますます求められています。
以上です。情勢が刻々と変化しつつありますが、ご参考にして下しさい。
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不安に思っていましたが、とてもわかりやすく書かれていて難しい政治問題が簡単に頭に入りました。カンボジアで生活するのに必須のブログですね。公平な視点で書かれている谷さんに感謝します。
なかなか、わかりにくい(理解しにくい?)内容を分かりやすく解説していただいたことへ心から感謝です。
小市氏のブログはこういったことの発信でしたが、「以下、省略・・」のような思わせぶりが多く、信用がおけませんでした。
今回の記事は多くの在カンボジア日本人へ広める必要があります。
小市の思わせぶりな投稿に、谷さんの公平で正確な情報で対抗しましょうよ。我々在住日本人は谷さんを全面的に支持します。
カンボジアータイの5月の国境紛争から経済制裁の応酬までわかりやすい説明でした。在住日本人が必要な正確で公平な情報を公開していただき感謝します。
小市のブログを見たくないので、今後もこういった情報は谷さんの投稿をお願いします。
私も同じ意見です。谷さんの投稿を楽しみにしています。
地図上では長らくカンボジア領になってるからタイ側からしたら分が悪すぎるんでは、、
こっちの現地の人は結構感情的になってる人もいますね。
ネットでタイ人とバトルしてるくらいですけども。
タイやベトナムと違い日本語情報が少ない中で、こんなに詳しく正確な極めて重要です。カンボジアに住む日本人として心より感謝します。本当は日本人会が安全情報提供すべきなんですけどね。
小市のはどこからか引っ張ってきたのをただ翻訳しているだけ
小市とは対照的に谷さんは独自にまとめられていて素晴らしいです。
大使館が安全情報を出す前に勝手に日本人会が入手した情報を個人で情報発信する日本人会会長小市琢磨は外交上の問題です。
[…] 既に前回のブログでも触れたとおり、今回の国境紛争の本質は、偶発的な事件を発端とした、タイ側の内政問題の反映であると考えます。 […]
[…] この紛争に至るまでの経緯については、以前のブログ記事(6月23日、7月1日)をご参照ください。 […]