はじめに
「タイ、地雷被害でカンボジアを提訴へ 停戦破棄の恐れ」日経新聞(2025年8月15日付)は、タイとカンボジア国境での「地雷被害」を大きく取り上げ、「タイ軍が地雷被害を理由にカンボジアを提訴」と報じました。しかし、その報道には深刻な誤りと偏向が含まれており、戦争を煽るかのような印象を読者に与えています。
私はこの記事に強く抗議します。
1.掲載画像のフェイク性
-
記事に掲載された「地雷除去作業のタイ兵」の画像は、明らかに演出されたフェイクです。
-
地雷除去に必須の 防弾ゴーグル、防護服、敷布の設置 がなく、兵士は半袖姿。実際の現場作業ではあり得ません。
-
専門家が見れば一目瞭然で、これは「パフォーマンス用に撮影された写真」です。
日経新聞記者は、この画像の真偽を確認したのでしょうか?
疑問を持たずにそのまま使用するのは、報道機関として無責任です。
こちらは地雷除去作業時の画像です、通常はこのような画像のような装備、準備をして除去作業を行います。
2.「国境付近」という曖昧表現
-
記事には「国境付近で地雷除去」と記されていますが、国境線のどちら側かを明示していません。
-
停戦合意(7月28日停戦 → 8月7日合意)では「軍の移動禁止」が取り決められており、もしカンボジア領内での行動なら明白な停戦違反です。
「国境付近」という曖昧な表現は、子供でも不自然だと気付くレベルです。
- 日経新聞の図であるが、6月23日国境閉鎖後、7月28日停戦合意後、タイ軍兵士が地雷で被害に遭ったのはカンボジア領内なら、侵攻、停戦違反をしたタイ軍に問題ありと見るのが普通である。
3.タイ軍の停戦違反と被害の原因

-
停戦後もタイ軍兵士が地雷で被害に遭ったことは事実ですが、その原因は カンボジア領内への侵入や鉄条網の敷設など、タイ軍自身の停戦違反行為 にあります。
-
ASEANの停戦監視団も現場調査を行い、タイ軍の行動を確認しています。
それにも関わらず、日経新聞は「タイ政府は7月末の停戦後、対カンボジア批判に抑制的だったが、強硬な発言が再び目立ち始めた。」と誤った事実を一方的に報じています。日経新聞は明らかに時系列を誤っています。
4.カンボジア政府 vs. タイ軍の実態
-
カンボジア外務省は「タイ国は攻撃的な軍部と外交的な文民政府があり、どちらが実際に状況をコントロールしているのか、また、どちらの表現にどう対応すべきかを知るのは難しい」という現実を国際的に訴えています。
-
日経新聞も同日別記事「タイ、カンボジアとの国境紛争で軍事支配が浮き彫りに」で「この紛争がタイの権力の中心がどこにあるかを明確に露呈させた。同国の政治的な不安定さは続いている」と記しており、日経新聞の記者によって認識に差があることが分かります。
社内での報道方針が統一されていないこと自体が問題です。
5.日本の戦後報道との教訓
今回の記事は、偶然にも「終戦記念日(8月15日)」に掲載されました。
戦前の日本では、新聞が戦果を誇張し、国民を戦争へと煽りました。80年後の今日、再び同じ過ちを繰り返してはなりません。
日経新聞は襟を正し、戦争を煽る報道ではなく平和構築に資する公正中立で冷静な報道を行うべきです。
『カンボジア不動産チャンネル』YouTubeのチャンネルでもご一緒に是非御覧下さい。チャンネル登録もよろしくお願い致します。
読者の皆さん、いつも応援ありがとうございます。
ランキング参加していますので下記アイコンをポチッとして頂ければ更新の励みになります。






記事を書いたのがバンコクの特派員。タイ側を忖度してか手厚くもてなしをされて書いた記事かは分からないが、報道としては不適切です。
[…] カンボジアの子供でも気付く日経新聞のフェイク報道 —— 戦争を煽る報道姿勢に抗議する(225/8/16) […]